旅を仕事に、遊びを仕事に。深い根底のところで繋がる、
自分のやりたいことをやって生きるためのチカラ。
NORTH VILLAGEから『放浪』『放尿』『放流』『コドナの言葉』の4冊を出版、
俳優、レゲエDJなど、多岐に渡り活躍する窪塚洋介さん。
自身の自伝を出版するために出版社を設立。窪塚さんとのエジプト旅行で出会った
シーシャにハマり、今では全世界に20店舗のシーシャカフェを経営する北里洋平。
二人の出会い、旅の思い出から出版秘話まで語っていただきました。
旅や遊びを仕事にする二人のクロストークから見えてくる、
やりたいことをやって生きるためのチカラとは?
窪塚洋介(Yosuke Kubozuka)
1979年5月7日生まれ。神奈川県横須賀市出身。
1995年「金田一少年の事件簿」で俳優デビュー。
その後2000年「池袋ウエストゲートパーク」の怪演で注目される。
2001年公開映画「GO」で第25回日本アカデミー賞新人賞と史上最年少での最優秀主演男優賞を受賞。その名前を一気に広める。
以降、映画「ピンポン」「凶気の桜」「Laundry」「Monsters Club」「ヘルタースケルター」「ジ、エクストリーム、スキヤキ」「サンブンノイチ」「TOKYO TRIBE」「Zアイランド」など数多くの映画に出演。
2017年に公開された「Silence-沈黙-」(マーティン・スコセッシ監督)では、物語の鍵となる”キチジロー”を演じ、ハリウッドデビューを果たす。
2019年公開のBBC×Netflix London制作の連続ドラマ「Giri/Haji」では物語の土台となるメインキャストを英国・日本両国内で撮影。 今後もエリザベス・バンクスとの共演作品「Rita Hayworth with a Hand Grenade(仮訳邦題:リタ・ヘイワースと手榴弾)の撮影などが控えており、海外にも積極的に進出している。
同年に公開された「最初の晩餐」では、高崎映画祭、日本映画批評家大賞で最優秀助演男優賞を受賞し、高く評価された。
2020年には「PLANETIST」「破壊の日」「みをつくし料理帖」、Amazon Audibleで「アレク氏2120」が配信され、活動の幅をさらに広げた。2021年には「ファーストラヴ」が公開。
ファッション業界での注目度も高く、デビューからファッション誌のモデルを続け、多くの雑誌の表紙を飾っている。SUPREMEなどストリートブランドからDior、Cartier、FENDIなどのハイブランドとの仕事も多数。
演劇でも評価されており、2010年に「血は立ったまま眠っている」(蜷川幸雄演出、寺山修司作)で孤独なテロリスト役で舞台デビューし、それ以来、「血の婚礼」(蜷川幸雄演出、清水邦夫作)、「シンベリン」(蜷川幸雄演出、シェイクスピア作)と蜷川作品に次々と出演。「シンベリン」ロンドン公演で初の海外舞台を経験する。2015年11月には豊田利晃監督の初演出による舞台「怪獣の教え」に主演。2016年9月には再演も行われた。
また、2006年から卍LINE(マンジライン)名義でレゲエDeejayとしての音楽活動を行っており、海外も含め年間100本近いライブを行う。2015年12月にはベストアルバム「卍LINE BEST」をリリース、2017年5月に6枚目のオリジナルアルバムである『真説~卍忍法帖~福流縁』をリリース後活動休止期間に入っている。
また2018年、自身初の単独トークショー「のんべんだらり」を東京・大阪で開催。
執筆活動も積極的に行っており、詩やエッセイ、旅行記などを多数出版、最新刊は「コドナの言葉」。
2020年から”カラダにいい、ココロにいい、ホシにいい”をテーマにYouTubeで『今をよくするTV』を配信。
北里洋平
1980年埼玉生まれ、南米チリ育ち。自伝家。慶應義塾大学環境情報学部を卒業後、株式会社日立製作所に入社。会社員時代、処女作『若きサムライ、その声を聞け』を出版。27歳で結婚。第一子の誕生を機に、自伝中心の出版社NORTH VILLAGEを設立。現在は世界中に18店舗の飲食店を経営。また、出張買収24時(リサイクル事業)、東京アジト(不動産事業)、NORTH VILLAGE EDITORIAL STUDIO(オンラインサロン)など、旅をしながら遊びを仕事にするスタイルで、活躍の場を拡大中
実は、全部の瞬間がロマンチック。
北里 洋介さんと出会ってから10年位経つんですよ。
一冊目の『放浪』を書いてもらったときのエジプトへの旅が初めてで。
そこから『放尿』、『放流』、『コドナの言葉』、全部で4冊、10年。
『放浪』と『放尿』、『放流』は旅をしながら創った本なんですけど、
その旅を通して、また洋介さんを通して、
僕の人生は変わったなと思っていて。
まず、NORTH VILLAGEに、旅を仕事に、遊びを仕事に、
というスタイルが生まれたのは、一冊目の『放浪』がきっかけなんです。
窪塚 成田空港だったね。初めて会ったのは。
『旅学』っていう雑誌をやってらした池田さんと先に会ってて。
「エジプト行かないか?」「行きたいですね」って話になって。
で、1人、英語喋れる友達のスタッフが来るって聞いてて。それが洋平で。
北里 最初洋介さん、俺のことアシスタントだと思ってましたよね。
窪塚 そう。なんか池田さんのアシスタント、
超あやしいなって思ってて(笑)
最初は、旅のクルーとして一緒にいたけど、だんだん洋平の面白さ、
わがままさ、マイペースさに気がついてって。
「あ、ボク今日ちょっと行くとこあるんで、同行しません」
え、オマエはこないの? みたいな。
北里 洋介さんきっかけでシーシャと出会って、すぐにハマって。だから洋介さんがピラミッド見ている間に「すみませんシーシャ吸ってきます」みたいな。今考えると出版社としては最低なんですけどね(笑)
シーシャにハマったきっかけも、エジプトのホテルで、朝メシ食いに
行きましょうよって洋介さんの部屋に行ったらいなくて。探しに行ったらホテルの前のカフェに洋介さんがいて。「おう」っていいながら、シーシャ吸ってケムリばーっとだして。なんか怪しいな、
どう見てもイリーガルじゃんって思って(笑)
でも怖いものみたさで吸って。アレがなかったら、僕、タバコも吸わなかったんで、シーシャと出会ってなかったかもしれないですね。
窪塚 日本に、特に東京にこんなにノースが出現することはなかったってことだもんね。
北里 はい。で、シーシャももちろんなんですけど、あの旅で、
洋介さんとホテルの部屋でガッツリ話した夜がすごく印象的で。
歳は近くても、当時、洋介さんは遠い存在だったんすよ。
テレビで見ていた人って印象もあるし、親しくなるってことが想像
つかなかったんですよね。でも、一緒に部屋で過ごして、『ワルあがき』に出ているようなエピソードとかを、長時間話したときに、全部話しを
聞いてくれて。最後に、洋介さんが、
「なんか同世代で、こりゃ負けてらんねーなって思ったの
初めてかも」みたいなこと言ってくれて。
まず、自分と同じ目線でいてくれてる、話を聞いてくれてる、面白がってくれてる、ってのが結構衝撃的で。あそこで洋介さんと仲良くなって
なかったら、その後NORTH VILLAGE的にも、芸能界の人たちと
付き合うことが無かったと思うんですよね。
なんか、芸能人といえど、同じ人間なんだって。
むしろこっちが差別してたっていうか。どうせ芸能人同士じゃないと
話さないんでしょ、みたいな。そういう固定概念を取っ払えた、って
意味でも重要な出会いでしたね。
窪塚 洋平がNORTH VILLAGEを始めたことによって
俺にも影響があって。
打ち合わせに使わせてもらったり寄らせてもらったりして、自分のリラックスできる場所を洋平に提供してもらってる。
そういう意味でも、あんとき俺がシーシャ吸っててよかったな、と。
どちらかが寝坊してたら起こらなかったかもしれないし。
あらゆる偶然が全て運命で、
今日の、今この瞬間に至ってると思うと、
実は全部の瞬間がロマンチックだよね。
ただ、自分の価値観とかの開き具合によるんだよね。
あの時、
「あ、コレがシーシャっていうんだ、じゃ、取材行きましょう」
ってなってたら東京でシーシャカフェやろう、まで思わなかった可能性もあるわけじゃん。
北里 あの頃、会社辞めて出版社としてのNORTH VILLAGEを立ち上げて少しした頃で。
仕事や生き方のスタイル、会社のスタイルを構築していく真っ只中だったんです。
どういうスタイルが理想かなって考えてたときにシーシャにハマって。
自分のアジトがあって、そこでシーシャ吸いながら著者の人と打ち合わせをしたり本を作ったり、作戦会議とかができたらメッチャ楽しそうだな
って考えるようになったんですよね。
そして旅から戻って、洋介さんとのエジプトの旅みたいなことを続けながら、それで食ってけたら最高だなってことも考えるように
なったんです。
だから「旅を仕事に」を実現するために、旅をしながら本を作るってのをシリーズ化して、何年かに一回やっていきましょうよ、
って話をさせてもらって。
窪塚 出版社をやってく、そのスタイルを構築しているときにシーシャカフェって、スゲー脇見運転な話じゃん(笑)
でも洋平は、「遊びを仕事に」、「旅を仕事に」とか、要は出版、シーシャっていうものが、もっと深い根底のところで繋がってるじゃん。俺だったら、レゲエDJもやってて、写真も映像もやりますよってのは、全部違うけど、根っこは一緒。自分がやりたいことをやる。
遊びを仕事にする、って意味では一緒なんだなって。
もちろん俺と洋平は特性も得意なことも違うけど、そういうのを楽しんでやってるのは、一番パワーがでるし、なにより楽しいじゃん。そうやって自分のハートで生きてると、自然とそういうやつらが集まってきて、
輪がでっかくなって、できることが増えていって。
それって最高だなって思うし。そんなに強いことないよね。
北里 そうですよね。あと違いでいうと、旅のスタイルも違いますよね。洋介さんって、遺跡があれば、その歴史とか、どういう必要性や流れがあってそれができたのかとか、めっちゃ興味を持つじゃないですか。
僕はどちらかというと、行った先で誰と出会って、
その人達となにやるか、っていうことにしか興味が向かなくて、
そこの歴史や遺跡とかって、風景でしかなかったんすよ。
だから、遺跡とか見てる洋介さんを見ていると、俺の十倍この瞬間を楽しんでるし、感動してるんだなってのを感じます。遺跡とか、食事とか、なんか、
五感を使って感じてるというか。
窪塚 町中からピラミッドちらって見えちゃったら、目を逸したりね。
「まだ心の準備が」って(笑)
北里 そういう、旅のスタイルにも影響を受けましたね。
で、次は『放尿』で、タイに行ったじゃないですか。
あの旅でも洋介さんから大きな影響を受けてて。『放浪』の時は、洋介さんが
「事故のことも笑って話せる感じじゃないんだよね。まだゼロにもどってない」って言い方をされてて。
で、2年後に『放尿』でタイに行ったときに、「やっとゼロに戻った」って。「プラスでもマイナスでもない、ゼロだから、どうとでもスタート切れる」
って言ってたんですよ。
それから2年後に『放流』で南米に行ったときは、「今が一番いい」って。
さらにその2年後、『コドナの言葉』のときは、「信じた道はレッドカーペットにつながってた」って。
2年毎に、ここまで人生のフレーズ、ステージが変わって、着実にステージを先に進めてるってのが、スゲーなって。
特にその「ゼロだからどうとでもスタート切れる」って言葉は印象的でしたね。
『放尿』を検索したらエロビデオ出てきた。
北里 制作のとき、タイトルがなかなか決まらなくて。まだ「放」で韻を踏んでいくってのも決まってないときでした。
横須賀の洋介さんのマンションで、本の仕上げにかかってるときですよね、お互いが出しあうタイトルにお互い、なんか違うってなってて。初めて意見がぶつかる感じで。
あるタイミングで洋介さんがトイレに行って、戻ってきたときにスゲー
ニヤニヤしてて。小学生がこれからいたずらしますよ、みたいな顔に
見えたんですよ。その時に「どうせ洋介さん、放尿とか言うんでしょ」
って言ったら、「言わねーよ・・・放尿!」みたいな。その場でデザイナーさんに、「ちょっと放尿、表紙にあてこんでみて!」って。さらに、
そこに「出たよ!」って入れて、これ、すごいねってなったんですよね。
それから発売元のサンクチュアリ出版の営業の方にその話を
したんですよ。そしたら「ふざけないでください!」って猛反発で(笑)
窪塚洋介さんの自伝は「売れるコンテンツ」なのに、「放尿」、さらに「出たよ!」だと女性ファンが誰も買えないじゃないか、って話をされて。
タイミング悪いことに、その前が魚武さんの本で、「俺は君の乳首を世界一やさしく噛むために東京へきた。」っていうタイトルの本を
出したので、また下ネタですか、って言われたんですよ。
「いや下ネタじゃないし、色々考えがあってのこのタイトル」って言ったんですけど、「そんなんじゃ営業できない!」って言われて。
結果、通ったんですけど、なかなか大変でしたよね。
窪塚 出版したあと、俺、Amazonでランキングとかってどんなもんかなって『放尿』を検索したら、エロビデオ出てきた(笑)
編集部 (今も出ます)
北里 印象的だったのは、サンクチュアリ出版の方々に猛反対を受けた時、俺一瞬ブレたんすよね。それで、「営業が猛反対で、ちょっと厳しいかもしれないっすね」って、マネージャーさんづてに伝えたんですよ。
そしたら洋介さん、「ふざけんな」と。「あんだけ盛り上がって決めたのに、いまさら何だよ」みたいな。
それで、あ、そうか、と。これは戦う方向間違ってるな、
洋介さんを説得するんじゃなくて、戦うべきは営業さんだ、と。
で、サンクチュアリ側ともガッツリ話をして。
まあ最後まで、サンクチュアリの役員で営業担当の方は反対だったんですけども、結果、すごい売れて。
2ちゃんねるとかで『放尿』のスレッドも立って。
タイトルが決まるときの、著者と編集とのやりとりとか、書店で女性が
買うときのシュミレーションとかが想像して書かれたりして、
ネット上でも盛り上がったんですよね。
その後、サンクチュアリ出版と打ち合わせしたときに、
「『放尿』があそこまで話題になったのはやっぱタイトルが良かったからですよねー」って言ってて。
あんなに反対してたのにしれっとそれ言う? って(笑)
まあ、さすが営業さん、結果ありきをちゃんと素直に受け入れてくれていて、面白いなーって思いましたね。
窪塚 あれが2012年かあ。そんな経つんだね。
ドアをノックすれば扉は開く。
北里 3冊目が「放」シリーズの締めにあたる、『放流』。南米ですね。
窪塚 あれもいい旅だったなあ。マチュピチュはずっと行きたかった、
憧れの地だったから。洋平がチリで育ってて、ノースで行くならそういう縁もあるか、っていうのもね。
北里 マチュピチュは、初めて行ったのが中学生ぐらいで。そのとき、
二度と来ることはできないだろうなってぼんやり思っていたんですが、
その場所にまた行けたってのがありました。これないと思ってた場所に
出版を機に行けた、あ、そういう縁あるんだって思いましたね。
で、マチュピチュの、アグアス・カリエンテスっていう、
「天空の城ラピュタ」に出てくるパズーの村とそっくりな村に滞在していた時に、この村でシーシャ吸えたら最高だなって。
村唯一の駅の、列車がくるホームにお店並んでたじゃないですか。
アンデス山があって川も流れてて、活気もあって。こんなところでシーシャカフェできたらな、と。
ただ、またその物件を探しに行けるのかなってのもありましたけど。
でも結果、あの旅をきっかけに、やっぱりマチュピチュに
自分たちのアジトを持ちたいって、また行くことになるんですよね。
あと、マチュピチュで、洋介さんとサッカーしたじゃないですか、
窪塚 したね。あんな高山なのに。しかも夜にね。
北里 地元の子どもたちと。夜の10時11時ぐらいですよね。
窪塚 そうだね。ストリートチルドレンみたいな感じの子たちと。
北里 あそこでサッカーしたことで、NORTH VILLAGEマチュピチュ店の利益で、マチュピチュにサッカーチームを持ちたい、
って夢も生まれたんですよ。あのガキンチョたちに、コーチをつけて、
ユニフォーム作って、チームを作る。
それが人生の目標の一つになったんです。
だから洋介さんとマチュピチュに行ったことも、そこで一緒にサッカーしたことも、結構僕の人生を変えてて。あの旅がなかったら、そこに店を作って、サッカーチームを作ろうなんて目標はまず生まれなかったし。
窪塚 洋平のこと面白いなあって思うのはさ、例えばマチュピチュに
旅行で行ったとして、ああ、こんなとこで店できたらいいなあっていうのは、結構みんな思ったりすると思うんだ。
でも洋平は、それをカタチにしようとして動くじゃん。
かつ、どんぶり勘定で、細部のディテールよりは
本質的な、スジが自分のところで通ってれば大雑把でオッケー、みたいな。
ある意味、それだけじゃん。
でもさ、お店を契約するとか、毎月、そこのスタッフに給料を出すとか、細部まで手を入れてるから、結果NORTH VILLAGEが20店舗とかなるわけじゃん。そういう細かいところもしてるんだなって。
北里 いやいや全然ですよ。マチュピチュの時も、そこで自分の店
持てたら最高だな、ってのはありましたけど、「で、俺どうすんの?」って。
ちょうど、NORTH VILLAGEっていう会社として、なにかで世界一を
目指していこうってなってて。どうせなにかをするなら、
世界一を目指すほうが、ゲームとして楽しいな、ロマンとしてあるな、と。
社内会議をしてくなかで、始めは「存在感」かなってなったんですけど、存在感の意味もよくわからないし、
どういう存在として1位になりたいの? って考えたときに、
「ロマンチックさ」だ!って。
そのキーワードが決まったときに、じゃあマチュピチュ店をやってしまえば、それにまさるロマンチックさはねえべ、っていう。
日本の出版社が、著者と打ち合わせするアジトを創る。日本から一番遠いアジトが、マチュピチュにある。それってめっちゃロマンチックだねって。
そんな夢を叶えられるなら、それだけでやる価値あるぞ、と。
だってロマンチックさ世界一になっちゃうわけですから。
それで、とりあえずやるって決まったんですけど、
そっからが雑なんです(笑)
行ったらなんとかなるべ、って、とりあえず行くっていう(笑)
ただ、日本で「どうしたらマチュピチュに店を持てるか」って考えると、できない理由がわーっと出てきちゃうじゃないですか。日本人が向こうで法人持てるのか、とか、ビザの問題とか、お金とか。でもそんなこと考え出したら動けなくなるんで、とりあえず行ったんです。
でもやっぱなかなか見つからなくて。向こうでは、現地の人が土地の権利を持っていて、そこから借りるしかない。空きも殆どない。
そもそも不動産屋が存在してない。
行ってからしばらくは、マジこのままだと何もないまま終わるな、と。
でもぜったいなんか引くはずって、根拠ない自信はあって。
だから、まあ、遊んでたんすよ(笑)
窪塚 どのくらい行ってたの?
北里 マチュピチュの前にクスコに約一週間、それからマチュピチュに
約一週間ですかね。
それで帰国する前日に、「ここだ!」っていうところを見つけたんです。立地は最高で、唯一の駅の目の前。2階建ての小さな店で、そこだけ
閉まってたんですよ。募集とかはなかったんですけど、もしかしたらってことで、オーナーさんを辿って色んな人を訪ね歩いて。そしたらなんとか会うことができたんです。
その店は、少し前にオーナーの方が亡くなって、子どもたちが相続した
ばかりで、いずれ貸しに出そうとは思ってたけど、っていう
物件だったんです。「是非貸してください!」って話をして。でも家賃も決まってなくて。このくらいかなって話をされたので、「じゃあ一年分、先に払うから貸してください!」って。手続きとか何が必要とかも
わからないまま、「とりあえずお金払うから貸してくれ」、「わかった」
っていう、口頭の約束をとりつけたんですよ。
で、日本に戻ってきたのはいいんですけど色んな問題が山積みで。契約書にサインが必要で、「え、戻って3日後にまたマチュピチュ行くの?」とか、「日本人で法人立ち上げられるの?」とか、オーナー家族が銀行口座
持っていないことが分かって、「どうやって送金する?」とか。
雑なツケが回ってきたというか(笑)
でも、逆に、その問題さえ片付ければマチュピチュに自分のアジトを
持つってのが実現するわけで。だから必死に知り合いやツテをたぐって、協力してくれる人を探してたら、チリに住んでいたときの友達のお姉さんが、ペルーの人と結婚しててペルーのリマに住んでるってのが分かって。
彼女に「久しぶり」って連絡をして、「マチュピチュで店をやりたくて、物件とりあえず抑えた!」みたいな話をしたら、
「何考えてるの?」 みたいな(笑)
でも自分の想いをガンガン伝えてたら、リマで会社をやっている実業家の、彼女の夫のかたが相談にのってくれて、協力してくれるようになって。
その彼が言うには、ペルー人の彼にとってもマチュピチュは神聖な場所で、店をやるなんて夢のまた夢で。そんなこと考えたこともなかった、と。
でも、それが実現できるかもってなったときに、自分もそのチームに入れてくれないか、と。
「是非!」って。
そもそも彼はリマでいくつも会社を展開している人だから、
法人作るのも口座つくるのも、内装の手配もお手のもので。
もうお任せします! ってなって。
それから彼はマチュピチュに契約に行ったり、クスコの役場に行ったり、次は資料が足りないから違う村に行かなきゃ、って色々と動いてくれて。
結果、NORTH VILLAGE PERUっていう法人と口座ができて。
物件契約も内装工事も進んでいったんですよ。ミラクルですよね。
窪塚 でもさ、ことわざみたいなので、
「ドアをノックすれば扉は開く」
(※【門をたたく者には開かれる】マタイによる福音書 七章七―八節)
ってあんじゃん。
一歩踏み出せば世界が変わるっていうかさ。それって真実なんだっていうのがさ、俺自身も実体験ではあるけど、今の話で、それを体感するよね。とにかく信じ抜いてやってみろってことだよね。
北里 そうですね。
窪塚 ワガママに。
北里 信じ抜いてって言うとカッコいいけど、
ただ考えてないのかもしれないですね(笑)
なんとかなるべって決めつけちゃってるのと、
あとは自分ならなんとかなる、するっていうのもありますけど。
窪塚 そのチカラ、を信じてるんだと思うよ。
著者 窪塚洋介 定価 ¥1,500+税
発行 NORTH VILLAGE 発売 サンクチュアリ出版
著者 窪塚洋介
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発行 NORTH VILLAGE
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すべての旅には、旅人の知らない目的がいくつかある。
子供のころから夢だった地、エジプトへ。
ピラミッド、ファラオのミイラ、古代神殿…。
窪塚洋介が彷徨った先で見たものとは。
世界中の遺跡の三分の一が存在する国エジプト。
カイロからレンタカーをドライブし、行き当たりばったり2500km。
ピラミッドに身震いし、王家の谷で奇跡に見舞われ、
監視員に補導され、騙され、ボラれながら旅した、
窪塚洋介2週間の放浪の記。
著者 窪塚洋介 定価 ¥1,500+税
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著者 窪塚洋介
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世間知らずのコドモではいられない。
かといって、世間に迎合し、夢を奪われたオトナにもなりたくない。
9階から跳んだコドナが着地した道は、
路地裏からレッドカーペット、そのずっと先まで続いていた。
大人でも子供でもない、『コドナ』ビビるな。ブレるな。信じろ。跳べ! !
芸能界デビューからハリウッドデビューまで、
これまで窪塚洋介が語ってきた紆余曲折様々なエピソードや撮影秘話、
声を大にして叫んできた想い、メッセージ、全てが詰まった集大成的作品。
著者 北里洋平 定価 ¥1,500+税
発行 NORTH VILLAGE 発売 サンクチュアリ出版
著者 北里洋平
定価 ¥1,500+税
発行 NORTH VILLAGE
発売 サンクチュアリ出版
活字と漫画が融合した新感覚【自己啓発書】
『ワルあがき』北里洋平 著
漫画・キャラクターデザイン たなか亜希夫
(『軍鶏』『迷走王ボーダー』『リバースエッジ大川端探偵社』etc)
「諦めることを、諦めた! ! 」
小学生にしてそう決意した、馬鹿がゆえに自由すぎる主人公が、
突然現れたもう一人の自分「キング」の教えを手掛かりに、
描く夢全てに片っ端からオトシマエをつけていこうとする、
果敢だが無謀一直線の、真実の物語。